ブルーマウンテンの夜空
Neutral

電動ミルで挽きたてのコーヒー 泡立つ表面が少しずつ収まっていくと
マグカップには雲の浮かぶ真っ暗な夜空が映しだされた
私の唇が音をたてないようにゆっくりと雲をすすっていく
そのまま月と愛の誓いを交わすように

いつも私が夜空を見ているのと同じく
カーテンが左右に開けるように雲が消え去ったけど
そこには月なんてなかった
我に返り 思わず唇を閉ざした夜空の苦み

苦みに耐える事を
良い事のように思ってしまうのは
それだけで周りは納得してくれるからという
何かに頼らざるを得ない雲に隠れた本心

だから 何も見えない空をせめて甘くしたくて
ミルクとガムシロップで月を作ろうとした
時計の針が逆回し 白と黒が渦巻き
夜空は半端に巻き戻され 夕焼けになり
その甘さに私は太陽へ心を引き寄せられそうになった
だめよ みんな彼の下では元気になるけど
あんな暑苦しい男のどこがいいのかしら

私は彼の方が好き きっと今夜も来てくれるわ
白桃のように輝く少年
カフェイン この夜に私を縛りつけて
まだ眠りたくないの


自由詩 ブルーマウンテンの夜空 Copyright Neutral 2013-09-06 00:35:32
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