秋霖を身篭る
朝焼彩茜色

秋霖はまだか 雨が降っている
雨の日は頭痛がする 灰色のお外に灰色の道路 カラフルな車
薬は嫌いだから 雨を見守っている

しとしと降りてくる 埃を立てずに 静謐な重みを降ろしながら

感謝の回数を忘れながら また感謝を数えてゆく
何度も感謝の対象に的を当てながら 流鏑馬の如く 走りながら

秋霖はまだか 御祝したいのに 秋の齢を
実りは真実との約束を果たす 果実 鬱金色 焦茶色 茜色
成熟の過程の匂いを醸す 涼しげな蜃気楼のように 緩やかに瞳を降ろす

しとしと降りてくる 精悍の佇まいを 女性心で包んで 降りてくる

感じることへの感謝の華のような指先触り 何度も感じて
今度はもう 与えて与えてゆく 足跡を翻すように 軽やかに

秋霖はまだか 雨が降っている
頭痛がする 雨を見守っている 身篭るように


自由詩 秋霖を身篭る Copyright 朝焼彩茜色 2013-08-30 16:27:55
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