夕暮れどき
灰泥軽茶

夕暮れどき

路地をバイクで走りながら

眠気を誘う

ちょうどよい風にゆられながら

家屋やマンションから漏れてくる生活音や話し声

屋根や電信柱の隙間から覗く空に

うとうとしながら呆けて

十字路を抜けようと左を向くと

小さな子供が家の前で

スーパーのビニール袋を膨らまして

顔を入れてこちらを覗いている

サイドミラーに光が鈍く乱反射すると

子供は嬉しそうな声をあげ

身体をくねくねビニール袋に収まってゆき

宙を踊りながらゆっくり浮遊して

こちらに向かってきたので

右を向き町がひっそりしているのを確認すると

直進し加速して路地を抜けていった



自由詩 夕暮れどき Copyright 灰泥軽茶 2013-08-28 20:04:37
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