ぼくらは誰にも似ていない
HAL

ぼくは もちろん きみじゃない
ぼくは もちろん あなたじゃない

きみも もちろん ぼくじゃないし
あなたも もちろん ぼくじゃない

けれどたったひとつ
ぼくにもきみにもあなたにも
共通するものがある

被害妄想?
もちろんぼくも時々感じるけど
それじゃない

差別されてること?
もちろんそんなことがあるのを
否定しないけれど
そうじゃない

心の病?
もちろんぼくもその病に
悩まされているけれど

ぼくの問いには
全部不正解だ

正解はお互いに命を持っていること
命を抱きながら先行きの見えない
生という途をそれぞれに手探りで
歩みつづけていること

たったひとつの共通点だけど
それひとつだけで ぼくときみは ぼくとあなたは
ハグできる程度に親しくなれないだろうか

肌の色が瞳の色が髪の色が宗教が違っていても
ぼくらは誰にも似てはいないことを理由にして













※作者より読んで頂いた方へ。
標題は、もう30年も前になるかと想います。
サントリーのウィスキー“リザーブ”の広告に遣われた
業界では東京四天王(仲畑貴志氏・魚住勉氏=浅野温子氏の旦那・眞木準氏=50歳逝去・糸井重里氏)の
独りと呼ばれていた仲畑貴志氏の“ぼくは誰にも似ていない”というヘッドラインから
“ぼく”を“ぼくら”に代えただけで、許諾なく使用させて頂きました。
広告コピーには著作権がない為、必要はないのですが
それは同じ職業人としての道に背くことだとぼくは考えます。
語弊はあるでしょうが、ひとつの仁義として添えておきます。


自由詩 ぼくらは誰にも似ていない Copyright HAL 2013-08-24 14:50:14
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