十日後の蛹
ニワコ




十日後の蛹は還った、土に
それはどこかの子供に
踏まれてしまったから


大地を踏みしめることを
生きている事だと教わった

羽ばたくことを
人間たちは許さない


その下の下の方に
眠っている蛹たち


大地と外気の境界を、
超えることなく息絶えた


人間の考えた、
土を掘る機械とやらで


掻き回された寝床を
まだ、出ることの許されない
軟らかい体で見つめるのだ




少しだけ浮遊する、




照り返されるアスファルトの上に
転がって踏まれて潰れて


出られなかった、蛹
命が消えるのは
こんなにも容易いものなのだと


生きたいと、鳴きたいと
ほんの少しの命を燃やすことさえも


人間は許せず
大地を踏みしめるのだろうか



十日後の蛹の産声を
待ち望んでいた


自由詩 十日後の蛹 Copyright ニワコ 2013-08-11 23:11:59
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