一瞬の劇場
yamadahifumi

何かが掌に残れば

それは温かく光るだろう

君が蛍でないにしても

君にも光る一瞬があるのかもしれない

この世界で生きている以上

僕達は火を燃やすための燃料以上の存在ではないわけだが

それでも、時には劇場の真ん中で

スポットライト浴びて堂々と演技する一瞬が

あるのかもしれない

そして、その時、人はどんな表情をするのか

僕はよく知っている

この一瞬に耐える為、時間というものをくぐり抜け

自分を作り上げてきた人間はおそらく

見事な跳躍を見せるだろうが

自分の存在しない亡霊は

光に当たって、溶けてしまうだろう

今、存在しない僕の幻体は

一体、どこのスポットライトを浴びているのだろうか?

僕は例え、僕が消滅したとしても

消滅しない一瞬を

自分の中の劇場で

造り上げようとしているのだ



自由詩 一瞬の劇場 Copyright yamadahifumi 2013-08-09 23:45:39
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