同じ窓辺
あ。
あ、の形にひらいた口から
あ、がこぼれて落ちた
床にふれる
粉々に砕けて、見えなくなった
手を伸ばして鍵を外す
からから、と窓をあける
なまぬるい風が不躾に入り込んでくる
分厚い雲が空を覆っている
もうすぐ雨が降るのかもしれない
手で少し払いのけると
わたしの家みたいな家の
わたしの家の窓みたいな窓がひらいて
わたしみたいなひとの姿が見えた
同じ窓辺の同じひとは
い、の形に口を開いて
い、をぽろぽろこぼしていた
自由詩
同じ窓辺
Copyright
あ。
2013-08-06 15:59:58
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