さとき森 
非在の虹

切り株は年輪をあらわにごろりと傾く。
森は風の音もなく 葉が降り続く。
朽ちることを拒むものはここにはいらない。
いつまでもあり続けようとすれば
真っ逆さまに高い梢から堕ちるだろう。
ありとあらゆるものが当たり前として腐食するのだ。
拒否するものは、街の汚泥に沈め。

森から遠く どこかの海域の
真珠の声する海。
馬蹄形の湾の内側。
知られることないこの海もまた

さとい森の理解者だ。
落下するマングローブの種。
    種は沈み あるいは流れて 根付くだろう。
万象は微笑むだろう。


自由詩 さとき森  Copyright 非在の虹 2013-08-05 10:29:47
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