方向音痴
ニワコ



やさしい歌しか歌えない君は
どれだけ瘡蓋を剥がされたのだろう



もう止めにしないか、
止めにしようか



新宿の南口
人波を掻き分けるように歌っていた
存在して良いわけを探しているようだった



君の居場所はここではない、と思うのに
その様は酷く可笑しくて



私は君にしか聞こえないよう
大きく、大きく拍手を送った


自由詩 方向音痴 Copyright ニワコ 2013-08-05 07:36:46
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