瓶ノ墓
服部 剛

曇り日の
凪いだ海に漂う
うつぶせなサーファー等の上に舞う
アホウ鳥の呑気のんきな飛翔を眺めつつ

理由わけもなく
「にたぁ」とほほえんでみる

僕は
もう
疲れてしまった
自分

他人

顔のつくりが違いすぎて
歩幅とスピードも違いすぎて

隣にいた君の姿は
「あ」っという間に
顕微鏡で覗いた微虫の如き者になってしまう

昨晩僕は
母校の理科室にて
徹夜で
顕微鏡のレンズ下に覗く
微虫等を結ぶ縁糸えにしいとより
人間関係の図式を編み出そうとしていた

夜が明けると
全てはぼやけ
顕微鏡は半開きの窓から
「ぽい」と棄てた

僕は
ひとり海辺で
曇り空を見上げる

(そのあまりに細い雲間の青を探して)

片手に飲み干した
「元気ハツラツオロナミンC!」のビンを *
砂に ぎゅっと 埋め込んで


  * 大塚製薬「オロナミンC」のキャッチコピー


自由詩 瓶ノ墓 Copyright 服部 剛 2003-10-30 23:20:38
notebook Home 戻る  過去 未来