ノラ猫の歌
石田とわ

    おとこに捨てられた、
    だからノラ猫になった
    夜空をみあげにゃあと啼いては
    まんまるお目目に三日月うつし
    うろついた夜の街には
    千鳥足の奴らがいっぱいだ
               
    (ダイキライ!)
               
    涼しい顔でするりとかわし
    ころがる蝉と遊んでみたり
    なびく猫じゃらしと喧嘩する
               
    (酔っ払いあいてにするほどひまじゃない)
               
    おとこはもういないから、
    ノラ猫だから、
    おもいっきりのびをしてあくびする
    顔をあらって寝なくっちゃ
    ノラ猫だって顔を洗う
    あしたはあしたの風が吹くって
    こういうことをいうんだね
    凪いだ風が生温かく頭をなでるよ
    だれかの手がこんなふうだった
    あしたの風はどんな風だろう
    きのうのことも今日のことも忘れたよ
    おとこの顔はもう思いだせない、
    
    だってノラ猫だから
    














自由詩 ノラ猫の歌 Copyright 石田とわ 2013-07-27 00:02:46
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