なまこ料理
春日線香

どこまで行っても焼けた道が続くものだから
どうにもやりきれなくなって
木陰で休んでいる行商に暑いですね
魚ですか? と聞いてみる
おばあちゃんはにこにこして
なまこを売りよんよ、と氷を敷き詰めたリヤカーから
新聞紙にくるんだそれを取り出してくれる
新しいけん焼いてん生でんおいしいよ
いくつか料理の仕方を教えてもらって
さて買って帰ったのはいいけれど
外は明るいのに部屋の中は暗い
こんな時に包丁を使うのはこわいな
などと怖気づいて冷蔵庫に入れておいたら
夜にはそれが凍ってしまって
ぐねぐねしていたものがほっそりと
紫のきゅうりの宝石になって輝いた


自由詩 なまこ料理 Copyright 春日線香 2013-07-24 15:00:33
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