聖銭(ひじりぜに)  
服部 剛

僕がある記事を書いて 
入ったお金を 
そのままぽんと、妻に渡そう。 

なぜなら妻は、もうすぐ2歳の周を抱えつつ 
僕の書いた原稿を活字に打ってくれたり 
郵便ポストに入れたり
手づくり詩集を印刷したり     
深夜に駅まで車で迎えに来てくれたり 
原稿料を渡すだけじゃあ、足りないか… 

僕の原稿による臨時収入は 
そんな理由わけで(タダ)で、いい。 

妻は無償のこころで働き 
僕も無償のこころでペンを持ち 
天下を回り回って 
お金というものが、もし 
愛を帯びたものに変換されるなら―― 

一枚の小銭さえ 
瞳を閉じた闇の中  
ちゃりーん、と尊いを立てる 








自由詩 聖銭(ひじりぜに)   Copyright 服部 剛 2013-07-23 23:22:41
notebook Home 戻る  過去 未来