試験
葉leaf


産まれたときにきっと
何かの試験に落第した僕は
その試験に合格していたら
そもそも存在することすらなかったはずだ
今日も僕は生きていくために
右手に落第し
脳髄に落第し
血液に落第する

自然界には試験の力が満ちている
ブナの林に注がれる試験の視線
大海に漂う試験の基準
山から吹く風に抗う点数の群れ
そうして万象は試されて
そうして万象は試していく

神秘というものは
きっともっとも難解な試験だから
「神秘が試験であるか」
という解けない問いでもある
そのような神秘から
こっそり正解を盗み去るのが
僕の生涯の課題だ


自由詩 試験 Copyright 葉leaf 2013-07-21 15:59:04
notebook Home 戻る