カエルの親友A子
ざらざらざら子

転校生のせなかをおした水曜日、わたしが階段をふみはずすのは決まって水曜日、わたしたちきっとA子になる、被害者A子なのか加害者A子なのかは誰も知らない、未来だってまだこしらえてないってのに

上履きがきつくなっても踵をふんでしまえばどうにかなるし、黒板を汚す数式や文法はなにかの暗喩だと気がついたとき消しゴムは磨り減らなくなった、集中力の先に眠りがあってそのさきにはおばあさんにならなければ受容できないような甘い世界が広がっている、誰もが通る道なのよといわれても、だれも印を残してくれなかったんじゃないの、道に迷う、ヘンゼルとグレーテルの青い瞳、パンくずは小鳥たちがたべてしまったんだよと誰かがつぶやく


転校生に親友になってよと言われたのが月曜日で
返事をしたのが火曜日、もちろんいいよ


学校の帰り道でカエルを見つけた、みどりいろの薄っぺらい肌をふるわせて、転校生あんたの名前はなんていうの、わたしの名前はカエルだよと言ってカエルはカエルを空の弁当箱にしまった、あんたそれどうするの、どうするのって飼うの、カエルって何食べるの、わたしチョコレートが好きアーモンドが入ってるやつ

わたしたち親友だよねって何度繰り返し聞いて、そうだよって答えたら、親友になれんの


水曜日わたしはカエルの背中を押す、カエルはわたしのスカートを引っ張る
わたしたちA子になる


自由詩 カエルの親友A子 Copyright ざらざらざら子 2013-07-21 04:01:15
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