午後と秘名
木立 悟






北の空が明るく
白を白に束ねている
先端へ 先端へ
まぶしく 見えなくなる


空は分かれ
互いを追い
互いを行き来し
さらに分かれ さらに分かれ


雨の一部が
雨を呼ぶ
雨に帰り
鉄に映る


原の煙が立ち上がり
転がり
うずくまり
光の名を言う


坂が 巻き上げられてゆく
数多くの別の場所
砂の壁に沈む窓
鳥の影の通りみち


青が終わり 黄が終わり
白が終わろうとしている
瀧 雷鳴 風と風
鏡の前に立つむらさき


岩を積み上げ 傷に至り
岩は崩れ 何処にも着かない
霧をすぎる傘のあとを
枝と音が追いかけてゆく


鉄の格子がふさぐ窓
雨のむこうをすぎる雨
雨と雨のはざまのこがね
別の名前を聴いている






























自由詩 午後と秘名 Copyright 木立 悟 2013-07-19 23:53:33
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