Always
ヒヤシンス


煌めく星々の彼方に伸びるきざはしを今まさに昇ってゆこうとしている君。
地上の僕は君の後ろ姿を必死に追いかけてこの手を思い切り伸ばす。
けれども君の金色の長い髪が暗闇の中鋭い光線を放ち僕の行く手を妨げる。
それはまるで天使が在るべき処に帰ろうとしているかのように。


朝日の輝く豊かな地上で僕らは出逢った。
美しい朝だったが君の美しさはそれ以上だった。君は僕に最上の微笑みをくれた。
大地は緑に萌え、鳥達は喜びの歌を唄い、僕らは愛し合い、全てが幸せに満ちていた。
しかしいつからだろう。何かが僕らを引き裂こうとする圧力を感じるんだ。

僕らの愛が深まるにつれ、あれほど青かった空に暗雲が立ち込める。
なぜだろう?その時すでに僕はある予感をこの胸に感じていた。
君もそれを感じていただろうか。いつか僕らが離れ離れになってしまうってことを。
無邪気にふるまう君の微笑みが苦しくて、うつむいた僕の顔は醜く歪んでいた。

でも君は僕の天使。僕の輝く希望。いつでもどんな時でもね。
誰も僕らの仲を引き裂く事など出来やしない。
君は僕の大切な人。この世で唯一愛した人なんだ。
どんなことがあっても離しはしないよ。


天へのきざはしの途中、追いすがる僕を君はゆっくりと振り返る。
君はこれ以上ないほどの美しい微笑みを僕にくれた。その時僕は理解したんだ。
でも大きな光輪が輝く中、僕にははっきり見えたよ。
そのブルーの瞳に水晶のような煌めく涙が溢れていたのを。

君は僕の天使。永遠の恋人。いつでもこれからもずっとね。
君を忘れる事なんて出来やしない。僕にもう一度チャンスがありさえすれば。
でも僕はこれからの人生をせいいっぱい生きてゆくよ。
君が僕に生きる勇気をくれたんだもの。


人生に彩りを加えるのは他でも無い自分自身。
僕のキャンバスは未だに真白いままだけど、
だからこそ手に入れたんだ。どんな色にも染められる自由ってやつを。


君は僕の天使。忘れ得ぬ恋人。永遠に変わりはしない。
君の微笑みは僕を明るくしてくれた。
君の優しさは僕の人生における正しき道を示してくれた。
君の美しさは僕のこれからの人生そのものなんだ。


輝く星空にきざはしがその姿を消してゆく。
君は最後にもう一度振り返り、僕にゆっくり頷いてくれた。
君の晴れやかな表情はとても神々しく、いまや女神そのものだった。
夢ではない。僕は美の女神を愛していたのだ。

君は静かに消えていった。この世界に無限の可能性だけを残して。


自由詩 Always Copyright ヒヤシンス 2013-07-15 05:17:16
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