欲求の果て
ヒヤシンス


夜の繁華街のざわめきにあらゆる欲求が漂っている。
散らばるポン引き達の蜘蛛の巣が張り巡らされている。
しどけない女たちは性欲の看板をぶら下げている。
狡猾な男たちはホテルの裏で駆け引きと取引をしている。

快楽の街に足を踏み入れる人たちはみな似たような顔をしている。
小さな権力を着込んだ警察官はこの街で夜の散歩をする。
一度でも頭まで浸かった者達は街角に座り込み物乞いを始める。
身ぐるみ剥がされた男が素っ裸でブラウン・シュガーを歌っている。

シラケた私は本物か偽物か分からない拳銃を押し付けられる。
この街ではシラケてはいけないらしい。
大きな組織の手帳に名前を刻まれた私はそれでもシラケる。
この街での私はただの虫けらに過ぎない。

性欲・金銭欲・権力欲、あらゆる欲求がひしめくこの街で、
いつもと変わらぬ明け方の太陽が昇る。
限りない欲求を見過ぎた私はこの街に存在価値を見出せず、
ここから去ろうと決意する。


自由詩 欲求の果て Copyright ヒヤシンス 2013-07-13 22:24:18
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