夏の朝/天使のらっぱ
佐東

青い青い
卵のかたちをした夜の背中が
真一文字に割れて
ぼわぼわした薄明かりが溢れてきます

桔梗色の
夏の始まりの天使の鱗粉で
朝は塗られてゆくのです



「おっきくなったねえ」

もうちょっとだね

「なかなかさかんねえ」

じっとみてるからだよ

「はずかしがりやさんなの?」

あっちゃんさわっちゃだめじゃん

「なでなでしてあげるんよ」

あー そうですか



青い青いお空が
どこまでも膨張してゆきます

風も水も
夏の毛細血管を伝い
早起きの天使の薄く透明な羽根を
夏のど真ん中まで
ひろげてゆくのです



さいてるよ

「あさがお!あさがおー!!」

天使のらっぱみたいだね

「どんなおとするん?」

あっちゃんのおならのおと

「うそ!?」

くすくす




自由詩 夏の朝/天使のらっぱ Copyright 佐東 2013-07-06 10:22:08
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