禁じられた口づけ
ベンジャミン

キスのやり方なんて忘れてた

なのに君は僕の気持ちも聞かずに
その潤んだ瞳で見つめて
何の前置きもなく小さな唇を
その潤んだ瞳を閉じることなく
ためらいもせずに何度も

そういう僕も目をあけたまま
確かに抵抗なんてしなっかったし
君は僕の耳たぶをつまんでいたし
馬乗りになられて髪はくすぐったいし

だからってそれを口実に事故だなんて
そんなこと言っても
君はわからないって顔をするだろうから

くちもとからはチョコレートの匂いがしていて
あぁ 君の唇についたチョコレートを
なめてあげてるんだなんて
自分にはちゃっかり言い訳なんかして
ずるい自分にちょっと嫌悪しててもやめなくて

キスのやり方なんて忘れていたから

これって目を閉じたらもっと気持ち良いのかなぁ
なんて そんなことも思ったし
実際目を閉じちゃったのは君にばればれだろうし

どうしよう 君に「愛してるの?」なんて聞いたら
まるですっかり僕が本気だってことだから
君の返事を期待しちゃうんだけど
僕はいまだに君の言葉が良くわからなくて
だからやっぱりこの現実が君の答えなんだと思った

いつのまにか君の細い腰に手をまわして
僕が馬乗りになってしまおうかと
ゆっくりと体をずらしていたら

突然違うところから伸びてきた手に
君はさらわれてしまった

呆然としている僕を
母さんと姉貴が心配そうに見ていて

姉貴は君を抱きかかえながら 冷めた口調で

「早く再婚すれば」なんて

それこそ冷たいセリフを投げつけたのだった

あと20年待って君を なんて言っても
君が理解できるまでに10年はかかるだろうか

それよりも 姉貴がそれを許さないだろうが








自由詩 禁じられた口づけ Copyright ベンジャミン 2005-01-02 03:52:26
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