子猫
かなめ

あなたは
一匹の子猫をみつけた
木枯らしの吹いた夜
寒さに震え、怯えている

「よしよし」
「いい子だ」
「こっちにおいで」

警戒をしながらも
あなたの優しい声と
安心できる匂いの
もとへ吸い寄せられていく

子猫を抱きしめ
コートの中に包み込む
互いの温度に溶け込み合う

それは恋でもなく
もちろん愛でもなく
同じ寂しさを持つもの同士の
傷の舐めあい

教えてあげる
あなたにとって私は
ふところを暖める
湯たんぽの代わりさ

それに気づいたけど
気づかないふりをして
あなたのそばで
まるくなってもいいですか

行く先を失った子猫のように


自由詩 子猫 Copyright かなめ 2005-01-02 03:24:18
notebook Home 戻る