雲よなぜ
殿岡秀秋

走りながら汗をかく電車の車窓から
おれは膨らみきった雲と真向いになる

なんでそんなに大きいんだ
思いを小便のようにためこんで 
我慢しているのか
まわりの雲は白いのに
おまえだけ灰色で
顔色が悪いぞ
怒っているのに
どこにもぶつけようがないのか
悲しいのに
涙もでなくて
自分を責めてばかりいるのか

ウルサイヨ
カミナリヲオトスカラナ
ゼンブオマエノセイナンダヨ
ワカッテイルノカ

たった今車窓からきみを見つけただけだよ
おれのせいなんかにするなよ

オマエハ毎朝散歩スル
ソノトキイツダッテ私ヲミテイル
キョウモ清々シイ空ダ
アノ雲ノキレイナコト
ナンテ言ウカラ
イツモ綺麗ニシテイナクテハナラナインダ
デモ大空ニハ
屋根モ壁モナイカラ
イツ吹キフキトバサレルカワカラナイ
地球カラアタタメラレテ
膨レテシマウコトモアル
オ誂エムキノ雲デバカリイラレナインダ

おれが何か言おうとすると
雲はいきなり黄金色の剣を投げてきた


自由詩 雲よなぜ Copyright 殿岡秀秋 2013-07-01 05:13:39
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