書きたくても書けない、とある作家の話。
東野 遥汰



部屋に閉じ籠って
もう一週間は経っている
何かを書いて紙を捨てて
毎日毎日が虚弱な無限ループ


きっかけが欲しい
スイッチを探してる
早く書きたい
でも筆を取るのが怖い


通行人Aが奏でる
彼だけの人生を分析して
僕はやっぱりただのB
変哲の無いただの通行人B

予想もしない幕開けに
観客は大パニックに陥って
主役を脇に押し退けて
通行人Bによる独壇場の開演


そんな夢を見るようになって
毎日文字が書けなくなった


座標軸に浮かぶ星と星
プロットに佇むAとB
文字に起こすのが怖いだけ
思考の設計図は出来ているのに

原稿用紙が無限の升目
目は疲れて腕はくたびれて
いつの間にか机に突っ伏して


例になくあの夢を見るんだろう




自由詩 書きたくても書けない、とある作家の話。 Copyright 東野 遥汰 2013-06-28 19:55:42
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