Lake dream/舟詩
東野 遥汰



月の影が浮かぶ空は
深紅に染まる まだ早い夕方に
揺れた水面に映る
僕の横顔に蹴りを入れてみた


森を背負った湖に
そっと寄り添って 眠りたい
葉を抜けたその風が
僕の中を 通り抜けて染まる


その色は深紅で
水面に溶けた月の影に
群青を忘れた緋色は
スカーレット レークを越えて


カフェインで冴えてく
眠気と決別した夜更け
濡れたままの髪 乾かなくて
脱いだままの服 動かなくて


忘れられた日に僕は
死ぬ予定で生きてきたけど
そしたら僕に忘れられた
誰かが死ぬから思い直した


顔の見えない君と
僕は繋がってるとは思わない
その目に映る自分を見ないと
僕が生きてるって分からないから


いつも いつも
僕は舟の上に腰掛けて
水面に映る僕を傍目に
君の中に居場所を探してた


そう悩む僕は確かにいると
昔 誰かが言ってたらしいけど
そんな人の目の奥にも
僕の居場所があればいいな


覚めた目が窓を覗いて
映る藍に僕が映りこんでて
誰とも分からぬ小さな影だけ
同じように 笑ってたんだ




自由詩 Lake dream/舟詩 Copyright 東野 遥汰 2013-06-28 18:04:23
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