墓標
寒雪
潮風ばかりが幅を利かす
テトラポットの脇で
小さくなってる砂浜の上に
そこらへんに落ちてた
たどり着いたばかりの木屑を集めて
組み上げた墓標めいたシンボルに
ぼくは気取ってみせて
きみに向かって
永遠を口にするけど
その時は気付いてないんだ
脳内麻薬が時限装置で出来ているなんて
三年経ってすっかりもう
永遠という言葉が
小便と一緒に一滴残らず
体内から排出されて
残ったぼくの中身はもう
あの日
きみの前で口に出した
そのシチュエーションさえ
記憶の片隅であやふやになって
もう形の正確さも思い出せなくて
あの日
きみの前で組み上げたシンボルも
いつの間にか半分にも満たない大きさで
その姿を見たきみが
気付かれないように薄ら笑いを浮かべて
その時
ぼくは空っぽになった自分が
実は正しく時間を過ごしていたことに
ようやく合点がいった
それと同時に
これから先
変わってしまったぼくときみの
永遠が葬られるべき墓標が
今正に目の前にあるんだって
ぼくは強く意識せざるを得なかった
そんなぼくを
残酷にあざ笑いながら
太陽はゆっくりと沈んでいく
後に月と星を残して