誠の綺羅星
えぬこ

空と海の水平線から、あなたの足跡を辿ります。

水平線の向こうの星の瞬きの中に見え隠れする、微かな星の囁きを頼りに結ばれる並行世界。
そこから私は、何時もあなたを想っています。
あなたの笑顔の為ならば、この身も心も犠牲にできる。
今ならそれがどんなに独り善がりで、どんなに無意味なものかわかります。
しかしやはり、私はあなたの笑顔が見たい。その気持ちが抑えられなかったのです。
私はこの身を捧げ、あなたと、あなたの愛する人の幸せを祈り、水平線の先、星の内側、その囁きに導かれて、あなたの世界から消えました。

ここに来てどれくらいの月日が、あるいは年月が経ったかはわかりませんが、あなたの笑顔が見られて、私はとても充実した毎日を送っています。
しかし、背後から忍び寄る、確かな悲しみの予感が、最近はもう、すぐ近くに感じられるのです。

懐かしい、名前を呼ぶ声。
振り向けばそこにいるのはあなた。

愛した人の笑顔は、自分を犠牲にしても守りたいもの。
ここはそうして、人柱となったものが集まる場所。
そこで精一杯、愛する人を照らそうとする輝きたちを、外の世界から眺める人々はこう名付け、語り継ぐ。

『誠の綺羅星』

と…


自由詩 誠の綺羅星 Copyright えぬこ 2013-06-26 21:37:36
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