若葉の候、完全な男の子について
伊織

空から突然好きな子が降ってきた
そうね
ちょうどこんなよく晴れた日


ところがそれが
聞いてよジーザス
好きな子には彼女がついてきた
紛らわしいことしないでほしいわ


それはさておき
来る日も来る日も
好きな子をあたし育ててた
受け止めちゃったんだもん、しょうがない
彼女は昼間はいないから
できるだけ さりげなく
ハートの肥料を忍ばせて


すると好きな子は朝露をくれた
「似合うかな、と、思って。」
きらりと光った虹の七色が
あの子の髪に反射して消えた



問題はね
ここからなの
あたし
少しづつ狂いはじめた
コーヒーに砂糖を入れちゃったり
ゆれるピアスいくつも集めだしたり
油断してたらマスカラのつけすぎ


知ってか知らずかあの子はね
毎日ふんわり微笑ってる
歩く姿はそよ風で
とてもクラクラしちゃうのよ



そしてあたしは空色の雑貨店で
猫が表紙のノートを買って
毎日日記をつけました
病めるときも
健やかなるときも



「とても、綺麗に、輝いてたから。」
今日はひまわりに降っていたおひさまのかけら
あの子のくれた贈り物は
オーバーフロー寸前で
ノートもそろそろ終わりそう
でもね
まだまだ

ときどきは手をつなぐけれど
二冊目の
ノートを買う


自由詩 若葉の候、完全な男の子について Copyright 伊織 2013-06-18 20:26:14
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