水辺で暮す
佐東

水の匂いのする
あなたの
指先の和音で
おどりだす
初夏の背表紙は
水溶性の文字たちの
ぽつぽつと吐き出す気泡で綴じられてゆく


垂直に
落ちてくる六月の
浸透してゆく
素直さで
水辺の暮しに
深く関わり続けて来たの

わたしの角質層は
ほろほろと剥離して
内側から覗く
銀鱗のささくれは
あなたの鎖骨の
窪みに広がる日だまりで
六月の波紋を揺らして
(ぱしゃん。)

鰓呼吸を知らない
わたしは
溺れてしまいそうに
なるけれど




自由詩 水辺で暮す Copyright 佐東 2013-06-17 19:16:34
notebook Home