ぼくと子猫のみゃーお
済谷川蛍

 ぼくの一番の友達、子猫のみゃーお。変な名前だと言わないでね。ぼくがつけた名前なんだ。みゃーおは雨の日に公園の側に捨てられていた。雨に濡れてふわふわの毛がぺったんこになって、とても可哀相だった。だからぼくは家に連れて帰ってあげた。そしてタオルで拭いてあげた。お母さんが帰ってきて、ぼくは子猫を見せた。
 「まあ、どうしたの」
 とお母さんが驚いて、ぼくはわけを話した。ぼくの家は、まだ何のペットも飼っていなかった。お父さんの宝石のような熱帯魚がいるだけだ。お母さんは子猫をなでて気に入ってくれたようだった。そしてエプロンを着て夕食の支度を始めた。ぼくは子猫をなでながら名前を考えたり、お父さんを説得する練習をしたりしていた。お父さんの車の音が聞こえた。ぼくは少し緊張した。
 「ただいまー」
 ついに帰ってきた!
 「おかえりー」とぼくとお母さんは声を揃えて言った。ぼくは子猫を抱いてお父さんに見せた。
 「ありゃ」とお父さんは言った。ぼくは説得した。お父さんは難なく許してくれた。お父さんも子猫を気に入ってくれたようだった。
 子猫が「みゃーお」と可愛く鳴いた。そこでぼくは「この子の名前は"みゃーお"だ!」と言った。お父さんとお母さんは幸せそうに笑った。

 ぼくはみゃーおが可愛くてしかたがないです。特に、テストの点が悪くてお父さんとお母さんにこっぴどくしかられたとき、泣きたいときにぼくは自分の部屋でみゃーおを抱きしめます。みゃーおは「みゃーお」と鳴いてぼくをなぐさめてくれます。ぼくはそういうとき嬉しくて涙が出てしまいます。みゃーおは本当に可愛いし、温かいです。でもぼくは一度だけみゃーおにひどいことをしてしまったことがあります。
 ぼくはその日、友達をたくさん家に呼んでプレステをして遊んでいました。対戦で盛り上がったりしてとても楽しかったです。みゃーおは鳴いていましたがぼくは対戦が忙しくて無視していました。そして夕方になって友達がみんな帰っていきました。ふとみゃーおが恋しくなって探しました。でもどこにもいません。そして畳の部屋の網戸が半分開いているのに気付きました。ぼくはとても不安になりました。そして外に出ました。近くを探したけどどこにもいません。自転車に乗って公園に行きました。よくそこに散歩に来ていたからです。女の子が二人ぶらんこで遊んでいて、ぼくは「猫を見なかったですか」と聞きました。女の子たちは顔を見合わせて「見てなーい」と言いました。ぼくは公園を探すことにしました。「みゃーお、みゃーお」と呼びました。女の子たちがやってきて、「いっしょに探してあげる」と言ってくれました。ぼくはとても嬉しかったです。そして僕と女の子たちは「みゃーお」と言いながら草のかげや、みぞなどを探しました。自転車に乗ったお兄さんたちが5人やってきて「何やってんだ」と言ったから、ぼくはおそるおそるわけを話しました。すると「探してやろーぜ」と言ってくれました。そしてぼくの家を聞いて、そのへんを三人のひとが探してくれて、残りのひとは公園でいっしょに探すことになりました。
 だんだんと空が暗くなってきました。公園にある倉庫みたいなところの裏から音がしたので見ました。すると男の子が立ちションをしていました! ぼくは「ごめんね」と言って逃げ出しました。そして公園を出て公園の近くの溝を歩いて見ることにしました。しばらくして向こうからおじさんが歩いてきて「なにか探してるのか」と聞いてきました。ぼくは「猫を探してます」と言いました。おじさんは「見てないなあ」と言って歩いて行ってしまいました。ぼくはもしかしたらみゃーおが死んだんじゃないかと思って泣きたくなりました。すると「見つかったー!」と言って男の子がやってきました。ぼくは嬉しくなりました。「どこ」と聞きました。「家の近くのみぞにいた」と男の子は言って、自転車の後ろに乗れと言ってくれました。ぼくは自転車の後ろに乗りました。
 家の前の少し離れたところのみぞにみゃーおはいました。男の子たちと女の子たちが待っていました。ぼくはみゃーおを抱きしめました。「よかったな」と男の子たちが言ったのでぼくは「ありがとう」と言いました。男の子たちと女の子たちは家に帰っていきました。ぼくは本当に嬉しかったです。ぼくはみゃーおについた黒い汚れを拭きながら「ごめんね」と謝りました。みゃーおは「みゃーお」と鳴きました。


散文(批評随筆小説等) ぼくと子猫のみゃーお Copyright 済谷川蛍 2013-06-16 01:43:03
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