台風の前
とつき

樹木のおそらく八割のみどりの葉と
そこの葉緑素もみかたしている影は
マチュピチュナスカシラクサといった
昔話にしか出てこないまちの
まひるの火事のようにじぐざぐしていて
彼女はきょくりょく手のひらのひらたい部分を
そらにむけてせのびをすると
気孔ってどう思うと聞いてきたくせに
けっきょくお医者さんごっこに失敗した春の男子を
坊主のように無視したものだ
グレーのジャージーの下がしょっぱいね
おにやどかりを食べたから
彼女の紅茶に氷をぶちこんだアイスティーは水っぽい
新聞の株式欄を読むようになってから
日本って社名につく会社の多いのね
日本抜きには株はなかなかもうかりませんね
気のせいよ
社会面をめくると昨日判決の事件
執行猶予三年の有罪判決なんてさ
ビンゴ!
フランスパンはちぎれ
バターのなまめかしさ
彼女のなめらかさに
ときどきおどろき
テキサスの半魚人騒動の記事に千路に乱れる
もう集めたもののない部屋
集めるもののない部屋
付箋付箋付箋
台風上陸は明日の予定覚えている
仕事を休んで
図書館にいこう


自由詩 台風の前 Copyright とつき 2013-06-10 16:47:16
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