窓を拭くひと
服部 剛

高層ビルの屋上から 
ロープに吊り下げられた 
ゴンドラに乗り 
清掃員は10階の窓を拭く 

(決して、下を見てはならない) 

気紛れな北風に 
ゆさぶられ 
風の刃は頬に冷たい 

向かいのビルの珈琲店から 
遠いおぼろな絵のように、目を細め 
僕は独り、問うている 

「生きる為に、窓を拭くのか? 
 窓を拭く為に、生きるのか?」 








自由詩 窓を拭くひと Copyright 服部 剛 2013-06-08 22:18:36
notebook Home 戻る  過去 未来