ハローセンチメンタル
Mélodie

取り込んだばかりの布団に顔を埋めると
遠い過去の匂いばかりがした

カーテンを半分だけ広げて窓を開けると
もう夏の匂いがそこまで来てた

不意打ちのように思い出すメロディー
口ずさもうとしても歌詞は喉に詰まって

あの日飲み込んだままの涙と
飲み込みそびれた感情ばかりが
はためいてカーテンの隙間から逃げていく

遠くへ来てしまい過ぎた

遠くまで行き過ぎた

こんな遠くまで生きてしまった

あの日以上に
あなたの歌を想うことなどないと思っていた
あなた以上に
誰かの歌を想うことなどないと思っていた
私以上に
あの日のメロディーを想う人などいないと

そんな夢物語ばかりを追って

またどこまでも青い夏が
私の背中を蹴りつけて追いたてて来るから

もう一度
せめてもう一度だけ

その声を聴きたいとつい
まるで昨日のことのように
振り向いて笑いかけそうになる

ハロー

その声の行き先は誰も
知らないままでいい


自由詩 ハローセンチメンタル Copyright Mélodie 2013-06-03 23:03:50
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