えんじのベレー帽
Lucy

君が
はじめて私の手を離し
自分の羽根で
よちよちと
はばたいていった日のことを
母は忘れることができない

君はとうに
逞しい翼をひろげ
上空の風に乗り
母には見ることもできない景色を
遠く
めざしているというのに

入園の日に
君がはじめて被った
えんじ色のベレー帽を
私は今も手放せずにいる





自由詩 えんじのベレー帽 Copyright Lucy 2013-06-03 20:46:00
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