カオス
中山 マキ






その大地に立った時、私達には理由があった
けれど、その理由はまるで仮初のような
良く言えば柔らかく、形のないものだった

ただ深く、ただ青いだけの私が乗る
ゆらゆらと揺れる笹舟
奥底に沈み消えるこの姿には過去も今もなく

奈落の底でこだましている声は
誰かに聞こえているはずなのに
神の声を探す人々は、常に天を見上げていて
子供の手さえ踏み潰す

美しい花をへし折って、肌色の花瓶に飾るよ
それを見て「何て美しい」と思う
胃を満たす白い皿に乗る
ラムチョップの香草焼きが甘い

全ての縮図が醜いことを
そろそろ認めなければいけない時が来ている
闇と夜を生んだ
ギリシャ神話の始まりと終わりに

人間はその時初めて
1人では生きていけないと確信したので
急ぎ過ぎている、この不平等な世界の横暴を
飲み込めずにいるのかもしれない

だから簡単に訳も無く
殺したりしてしまうのだろう
誰かが、誰かを







自由詩 カオス Copyright 中山 マキ 2013-05-30 12:24:48
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