真夜中の嵐の中で。
元親 ミッド

猛り狂い 窓を叩く 真夜中の嵐に

恐る恐る 外の様子を伺おうと

少しだけ開いた窓に 風の爪かかりて

勢いよく開かれた窓に 飛び散るスリガラス

そこには 耳を劈く轟音と ただ闇しかなくて

それでも見極めようと開く目に

撃ち放たれる銃弾のような冷たい雨粒



叫びも 嗚咽も 雄たけびも

かき消され 届かなかった 祈りも



世界は 絶望のただ一色に

飲みこんでいった ブラックホール

降りやまぬ雨はないなんて 誰かが言ったらしいけれど

それまで 生き延びられればいいだろうけど

真夜中の嵐は それほど呑気でもない



悪夢は 初めから悪夢じゃなくて

安らかな夢からの急転直下

いかにもって感じの 幸せそうな退屈に

思いもかけず訪れて

まさかの展開 ありえない衝撃

目を覆う惨劇 救いようのない結末



あぁ 窓を閉じようにも 窓はもう無い

引き千切られた薄いカーテンが ボロボロの海賊旗

最早停電の室内は幽霊船 栄光の残骸は埋もれて発酵

猛り狂う 世界を揺らす 怒りが支配して

真夜中の嵐は 弱者を淘汰して行く

だからその手に お前の選ぶ 武器をとれ



そうして その破られた その窓から乗り出して

暗闇の世界へと 戦いを挑め

嵐は そのうちおさまるだなんて 信じない

今まさに信じるのは 己の魂と 手にした武器だけ



いつかは誰しも 死が訪れるだろう

時がくれば 逃れられぬさ

であるなら それまで懸命に生きればいい

暗闇の 嵐の中で

生きて 生きて 生きぬいて

生きぬき切ったら そのうち死ぬだろ

だから今はその時じゃなくて

今は 力の限り 生きぬく時だ 



叫びも 嗚咽も 雄たけびも

かき消され 届かなくても 祈ってる場合じゃねぇ

そんな暇ありゃ お前の武器で闘え

今は 力の限り 生きぬく時だ


自由詩 真夜中の嵐の中で。 Copyright 元親 ミッド 2013-05-30 02:13:58
notebook Home