ピクニック (詩人サークル「群青」五月の課題「緑」から)
Lucy

わたしはピクニックがしたかった

母にきくと
いいよと言った
ためておいたおやつを
バスケットに入れて
母が貸してくれたゴザを持ち
野原に行った
靴を脱いで
ゴザの上に座った
飴を取り出して口に入れた
草むらで
キリギリスが鳴いて
蝶が飛んだ
アブも飛んできて
わたしの周りをぐるぐる回った
どこかでひばりも鳴いていた
空は青すぎるほど青く
わたしはひとりぼっち
ゴム靴の中に
バッタが飛び込んだのを知らずに履いて
あしうらでぐちゃりと
つぶれた感触に
大泣きしながら
母のもとへ
つま先立ちの片足に靴をつっかけ
引きずって歩いた
母に着くまでのこころぼそい
果てしのない孤独な道のり

ぼうぼうと伸びた緑の草の中を
かたあし引きずって
泣いて歩いていくわたし
小さな命をつぶした事実に
おののきながら

その道は生きている限り
どこまでも続く
太陽の真下のうす暗い道

とうとう母にたどり着くことなく
わたしは今も歩いている


  




自由詩 ピクニック (詩人サークル「群青」五月の課題「緑」から) Copyright Lucy 2013-05-28 21:34:12
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