金平糖
もっぷ

ここはもう戻れない金平糖の国
甘さを装って溶けることのない呪詛
が降り積もり降り積もり見た目ばかりは
綺麗だろう有り難かろうときょうも恩を売っている

色とりどりに騙されたふりをして
住人は皆ため息ばかりが上手になった
触れずに降らせておくだけならば何事も
いま以上には酷くはならないと悟ったからだ

初めてその粒たちが降ってきた日
大喜びで掴み取っては頬張っていたサーカス団の少女が
老婆へと急変してゆく様子を住人は視ていた

初めてその粒たちが降ってきた日
珍しそうに拾ってはポケットへと集めていた旅の老婆が
山羊へと変貌してゆく様子を住人は視ていた



自由詩 金平糖 Copyright もっぷ 2013-05-17 23:47:49
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