機動戦士ガンダム EXTREME VS. FULL BOOST
一 二

僕たちがゲーセンで得るものなど何もない
ただ一つあるとすれば
二年ほどだけライブモニターに映るプライドだけだ

失うモノは沢山ある
親に安定した老後を送ってもらうだけの
山のような50円硬貨と
一生一度切りのお金では買えない青春だ

僕たちがゲーセンの前で
無意味で孤独な消耗をつづけているあいだに
ある者は死ぬ気で勉強して
ホワイトカラーの仕事に就こうとしてる
またある者は
僕たちがよく行くゲーセンで
メダルゲームやクレーンゲームをやったあと
僕たちがお金を払うか犯罪を犯さないと
行うことができないSEXを
お金を払わず犯罪を犯さず
愛の営みの表現として
日常の一部に組み込んでいる

きっと彼らは
僕たちを雇い管理する立場になり
あるいは幸せな夫婦となるかもしれない

僕たちのお気に入り機体は
僕たちを何処にも連れて行きはしない
「WIN」か「LOSE」か「TIME UP」と「DROW」
ただそれだけを示す


富野やサンライズは
俺たちがガンダムを消費した金で
ガンダムを作っているのに
「ガンダムばっかしていないで
女の子とお喋りでもしてみろキモオタ童貞」
と言ってのける

それはガンダムを愛していない人だけしか
実践できない
僕たちはお金と時間を消費するだけだ
富野たちは僕たちから吸い上げたもので
僕たちに仮初の刹那的快楽を与え
陰で僕たちをバカにするだけだ
そこに愛は無い
あるのはコンテンツ産業の
需要と供給だけだ

それを悟ったところで
それを文章にしたとろで
僕はゲーセン台に50円を入れて
猿のように奇声挙げて台をバンバン叩く

そこに生産性も将来性なく
あるのは消費だけだ
血肉にもならず形にもならず
0と1の数字の羅列だけど
それでもいいならゲーセンに
君も来たまえ

HAVE A NICE LIFE !


自由詩 機動戦士ガンダム EXTREME VS. FULL BOOST Copyright 一 二 2013-05-15 03:24:41
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