言の羽根
まーつん

 言葉がなくても
 生きていける

 もっと大切な
 ものがある

 それが何かは
 知らないけれど

 言葉だけでは
 生きていけない

 温もりは
 肌で受け取る
 ものだから

 それでも人は
 喜びを 悲しみを
 戸惑いを 気づきを

 こんなにも儚い
 泡のように
 弾けるだけの
 響きに託す

 掌に溶ける雪
 地に染みる雨
 頬を撫でる風
 硝子を洗う光

 言葉はそれらと
 同じくらい儚く
 人の心を去来し

 記憶の中に
 霞んでいく


 生きる為に
 打ち振られた

 翼から抜け落ち
 青空へと溶けていく





 一枚の羽根よ







自由詩 言の羽根 Copyright まーつん 2013-05-12 11:53:48
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