ナイフと、弾丸と
まーつん

  嘘を百回繰り返してみても
  それは本当にはならない

  醜い自分を
  美しい言葉で飾ったところで
  鏡に映る本質は変わらない

  皮膚の下に埋まった弾丸を
  取り出してしまいたいんだ

  ナイフで縫合の痕を裂いて
  血を流す肉のひだから抉り出す
  古い鉛の弾 痛みの種子が

  張り出した根を
  引きずりながら
  白日の元に晒される

  本当の言葉は
  ナイフのようなもの

  それは恥のように
  自尊心を傷つけ

  憎しみのように
  純真を壊す

  だけど

  ナイフでなければ取り出せない
  弾丸というものもあるんだ

  それを撃ち込んだのは
  愚かな自分自身だったのかもしれないし

  誰かの悪意だったのかもしれない

  いずれにしても
  そのままにはしておけない

  俺は汚い人間さ

  愛に飢えてはいるが
  自分を偽る空しさも知ってる

  絞り出す膿の悪臭に
  君が顔をしかめたとしても



  知ったことじゃないのさ







自由詩 ナイフと、弾丸と Copyright まーつん 2013-05-04 20:16:15
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