風読み
Lucy

羽化したばかりのモンシロチョウの
おぼつかない羽ばたきが
風にあおられ

じりじりと後ずさる濃い霧の中を
触角も羽もなく這いずる夜も

誰かの仕掛けた銀色の罠に
迂闊に絡めとられる朝も

時の行く手を変えることはできない
けれど間一髪のところで
心だけ逃がす事は可能だ

風の気配を読めさえすれば

いずれそのはばたきは
風を掴むだろう
降る昼の光
咲く花々の
流れる影を横切りながら

ただ一瞬の機転のおかげで
囚われなかったおまえの心を
追っていけ

青空の奥深く
すれちがう雲を
傷つけながら






自由詩 風読み Copyright Lucy 2013-04-29 22:27:17
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