灰色ゼリー
カンチェルスキス
寒空へ向かうシャボン玉の割れたさきで
季節が変わる
ふくらんだ嘘を削ぎ落とすようにきみは
僕をたった一つにする
やさしい指先に抗いましょう
午後の上機嫌なチーズスフレの悪口を言って
自転車の後ろに
のせてもこぼれないほどの痛みをのせて走る
動物園の飼育員が動物を逃がしても
何のおどろきもないんだろう
恐竜が死に絶えてからはじめての月曜日
部屋にテーブルを招きいれた
きみは食器を運び
僕はソファを一度落とした
洪水を失う川はきっとつらいんだ
フォークとナイフを間違えて
手に持っていた僕のゆううつ
日が射す窓際の花は
何と言うんだろう
その名をたずねることからはじまり
足元にたまってる灰色ゼリー
わざとなかったふりして
やさしい指先にのせられて
僕はきみの胸で泣きじゃくる