灰色ゼリー
カンチェルスキス




 寒空へ向かうシャボン玉の割れたさきで
 季節が変わる
 ふくらんだ嘘を削ぎ落とすようにきみは
 僕をたった一つにする
 やさしい指先に抗いましょう
 午後の上機嫌なチーズスフレの悪口を言って
 自転車の後ろに
 のせてもこぼれないほどの痛みをのせて走る
 動物園の飼育員が動物を逃がしても
 何のおどろきもないんだろう
 恐竜が死に絶えてからはじめての月曜日
 部屋にテーブルを招きいれた
 きみは食器を運び
 僕はソファを一度落とした
 洪水を失う川はきっとつらいんだ
 フォークとナイフを間違えて
 手に持っていた僕のゆううつ
 日が射す窓際の花は
 何と言うんだろう
 その名をたずねることからはじまり
 足元にたまってる灰色ゼリー
 わざとなかったふりして
 やさしい指先にのせられて
 僕はきみの胸で泣きじゃくる









自由詩 灰色ゼリー Copyright カンチェルスキス 2004-12-28 16:08:08
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