戯曲「ノーパンガール」(習作つづき10前半)
星☆風馬
子供が3人(男、女1、女2)がSケンをしている。
男一人がケンケンで敵陣に入るところのようである。
女二人、入口を固くガードしている。
男 「猛獣使いだぞ〜。扉をひらけ〜。ひらかねば力づくだぞ〜」
女1 「ここは最後の砦。絶対に守るのよ、シモーヌ。おい、怪物。来るなら来い!おまえなんかわたしのノーパンキックでイチコロよ」
男 「なんだとー。おまえの方こそ怖いんだろう〜。臆病風に吹かれたんだろう〜。しょんべんちびって震えてるんだろう〜。悔しかったらおれと戦え〜」
女1 「何をー、言わせておけば!」
女2 「ダメよ、お姉ちゃん。あいつの挑発に乗っちゃダメ。ここを動いたらあいつに宝石を奪われてしまうわ。相手の思う壺よ」
女1 「そうね、シモーヌ。あなたの言う通りよ」
男 「来ないなら、おれはもう入っていくぞ〜(男、強引に敵陣に入っていこうとする)うお〜」
女1 「きゃー!」
女2 「がんばって、お姉ちゃん。戦うのよ、エレーナ」
女1 「そうね、そうだったわ、シモーヌ。わたしたち、戦わなきゃね」
女2 「そうよ、お姉ちゃん、押し返すのよ!」
女2人「えーい!」
男 「ぐお〜ん(男、押し返される)、、、っていうかさ、ずっとそこで守ってばっかりだったらさ、おれも入れんけど、あんたらもおれの陣地入れんよ。いつまでも勝負がつかないまんま、ひ〜が〜く〜れ〜る〜ぞ〜〜(男、入っていこうとする)」
女1 「ばかね。おまえにそうやってケンケン攻撃させて疲れさせているのに気づかないとは。おまえが疲れるのを待ってこっちは打って出る作戦なのだ。ばかはおまえの方だ!」
女2 「お姉ちゃん、敵に自分たちの作戦をもらしてしまったらいけないわ」
女1 「しまった、シモーヌ。思わず口が滑ってしまったわ。あっ!敵が緩んだ、今よ、今しかない!突撃〜!」
女2 「突撃〜!(女2人、突撃。女2は敵陣に宝物を取りに行く)」
男 「うお〜ん」
女2 「とったー!」
女1 「やったー!勝ったわ。きゃー(女2人、さわぐ)
男 「くっそー」
女2人「(男を指差し)あなたの名前は何ですか?」
男 「えー、、、、やるの?」(女2人、うなずく)
男 「まじで?」(女2人、うなずく)
男、お尻を出し、お尻で自分の名前を書く
男 「わかりましたか?」
女2 「わかんなーい」
女1 「あなたの名前は何ですか?」
男 「(お尻で自分の名前を書く)わかりましたか?」
女2 「わかんなーい。ねえ、お姉ちゃん、わかんないよね(女1、うなずく)」
女1 「あなたの名前は何ですか?」
男 「(お尻で自分の名前を書く)もういいだろ?わかりましたか?」
女2 「いや、ぜんぜん」
女1 「なんか、お尻の振り方が悪いな。腰の入れが悪い」
女2 「うんうん」
女1 「あなたの名前は何ですか?」
男 「(お尻で自分の名前を書く)わかりましたか?」
女2 「わかりませんでしたよ」
女1 「あなたの名前は何ですか?」
男 「(お尻で自分の名前を書く)わかりましたか?」
女2 「わかりませんでしたよ」
女1 「あなたの名前は何ですか?」
男 「(お尻で自分の名前を書く)わかりましたか?」
女2 「わかりませんでしたよ」
せむし登場
せむし「おいおい、そこのわらしたち、遊んどるところすまんがの、ちょっと聞きたいことがあるのじゃが」
女1 「あなたの名前は何ですか?」
せむし「おお、わしかの。わしはな、渚薫いうもんじゃ。知らんやろ」
男 「わたしの名前は(お尻で自分の名前を書く)わかりましたか?」
せむし「うむ。高原豊君であるな」
男 「あ、わかりましたね!」
せむし「わかったぞい。おぬしの尻が言うとった」
男 「やったー、やっと終わった」
女2 「えー、わからなかった」
男 「ばか、曇りマナコじゃおれの尻文字は読めんのだ。で、おじいさんが聞きたいことって何ですか?」
せむし「ああ、そうそう。このあたりに高原与志ちうもんの家があったろうが、知らんかの?」
女2 「知らーん」
男 「この辺はほとんど高原ですから」
せむし「なんじゃ、知らんのか。このへんのボロ長屋に住んどったが、160年もたつと何もかも変ってしまっておる」
女1 「ひとしって向こうの塚で石になっとる人のことじゃないの?」
男 「あー、あの高原与志のことか。その人はもう死んどろが、大昔に」
女1 「そうね」
男 「あのー、そのひとしっていう人やったらもうとっくに死んでおらんですけど」
女2 「おらんおらん」
せむし「そうか。あやつもくたばってしもうたか。わしの方が年上になってしもうたようじゃの。ならばばあさまの方も死んだんかの」
男 「ええ、死んどると思います」
せむし「そうか、死んどるか。紗倉真奈と同じ塚に眠っとるのかのう。それでは線香一本ぐらいあげて行こうかのう」
女1 「わたしが連れて行くよ」
せむし「それはありがたい。おお、そうじゃ、奈津いうんはおらんのか?おったろが、めんこいノーパン娘が」
男 「奈津ばあさんなら生きてますよ。ぼくが家まで案内しましょうか?すぐ近くです。こっちですよ」
―暗―
奈津、座布団に座りお茶を飲んでいる
せむし、男に連れられ登場
男 「ここですよ。それじゃ、おじいさん、失礼します(退場)」
せむし「おお、奈津さんかの?久方振りじゃー。わしが誰かわかりますかのう」
奈津 「はあ?薫さんかえ?ほー、今日は珍しいお客さんがお出でになった。いつ振りですかのー」
せむし「160年はたっとるの」
奈津 「へー、160年かの。ほんのちこっと前のごたるが、160年もたっとるかのー」
せむし「160年も昨日のごたるの」
奈津 「んだー。さあさあ、お上がりなされ、お茶でも飲んで、ほれほれ(奈津、座布団を一枚横へ放り投げる)」
せむし「なんも変わらんの(座る)」
奈津 「んだな、わしらはなんも変わらん(お茶を入れる)」
せむし「龍児のオヤカタはどげんしとる?」
奈津 「結婚しましたがの」
せむし「はあ?結婚な」
奈津 「そうじゃ、結婚じゃ」
せむし「ならばあのわらしどもはあんたらの子かえ?」
奈津 「まさかそげんことはあるまいよ。ありゃあ、ひひ孫じゃき」
せむし「ひひ孫とな」
奈津 「そうじゃ、7人生んで2人死んだが、もう全部巣立ってしもうた。その子らが孫生んで、孫がひ孫生んで、ひ孫がひひ孫生んどるよ。もう家にはじいさましかおらんの」
せむし「ほうほう、ひひ孫とはすごいの。わしはの、今年198歳になるがの子供生もうと思っとる。彼女ができての」
奈津 「子供とな。はー、ますますお盛んなことであるな。よろしいことであるよ」
せむし「あと40年はいけるがね」
奈津 「わー」
せむし「今は108で通しとるが98でもわからんじゃろ、わしの年」
奈津 「んだなー、108には見えんのー。若うあらしゃる」
せむし「え〜へへ〜、じゃろがー。ちんぽこもまだまだギンギロじゃき」
奈津 「ギンギロとな」
せむし「んだんだ、ギンギロじゃ。はっはっはー、ところで龍児のオヤカタはどこぞ行っとるんか」
奈津 「あのじいさまは、山に行っとるがよ」
せむし「芝刈りか?」
奈津 「ちげえますだー。山で籠って花火作りにいそしみよらすんじゃ」
せむし「花火か、まだやりよるのか、あのボンクラ」
奈津 「はまっとらるがね。もう三カ月(みつき)は籠っとらるよ」
せむし「あの花咲かじいさん、いっつも夜中にボカンボカン打ち上げしよったなあ」
奈津 「しよったなあ。ほいでな、ちかごろは宝満山に秘密基地をば作って作りよらすのよ、でかいのば」
せむし「ほー、そげなでかいのばや?わしもまた見てみたかものじゃ、龍児のオヤカタのどでかいのば」
奈津 「そろそろ帰ってくるころじゃなかじゃろうか」
龍児の声「おーい、奈津ー、ちょっと来んかー」
奈津 「ほれほれ、うわさをすればやってくる、やってくる。花咲かじいさまがやってくる。ちょっとお待ちくだされよ。行ってきますじゃ」
龍児の声「奈津婆ー、手ー貸せー」
奈津 「へーい、聞えとりますよー(退場)」
龍児の声「奈津婆、イノシシ一匹捕まえた。さばくの手伝えや」
奈津の声「まだこげなうりぼー、可哀想だっぺ」
龍児の声「獅子鍋すっぺよ。今日はイノシシ鍋じゃー、がははははー」
奈津の声「イヤだべ、可哀想だべよ」
龍児の声「んだか?逃がすか?」
奈津の声「んだな、逃がすべ。おお、そういえばの、今、渚薫さんが来とるど」
龍児の声「ん?だりや、それ」
奈津の声「渚薫さんじゃがな、憶えとらんのか。あのインポせむし小僧の薫さんたい」
龍児の声「おお、薫さんか、ホンマか、それを早う言わんか、アホタレ」
奈津の声「そげん言わんでもよかじゃろが、バカタレ」
せむし、一人でお茶を飲んでいる。
女1、女2登場、虫かごを持ち、虫取り網で昆虫を追いかけているようである。
男登場
男 「あなたの名前はなんですか?」
女2 「わたしの名前は(お尻で自分の名前を書く)わかりましたか?」
せむし「タカハラチヨ」
女2 「正解!なんでわかったとー?」
せむし「ふふふ」
男 「あなたの名前はなんですか?」
女1 「わたしの名前は(お尻で自分の名前を書く)わかりましたか?」
せむし「タカハラフジエ」
女1 「えー、正解、なんでわかるんですかー?」
せむし「知りたいのか?」
女2人「知りたーい」
せむし「そうかそうか、では、教えてあげよう。わしはの、もう人の心が全部見えるようになったからの、おぬしらの尻は別に見らんでもいいのじゃ。尻出して頭隠さず。おぬしらの心は丸見えじゃ、ほっほっほ」
女2人「すっごーい」
龍児登場
龍児 「おお、薫さんかの。どげんしとるのじゃー、ちかごろちっとも顔見せんで。老いぼれて死んだかと思っとったー。まだまだギンギロみたいじゃのー」
せむし「おぬしも元気そうでなによりじゃ」
奈津登場
奈津 「ほれほれ、あんたも座ってお茶でも飲みなされ(お茶を出す)
、、、つづく