心の落し物
杉原詠二(黒髪)

僕には愛がない
遠い昔華やかで儚いおとぎの国に心を一部落としてきたから
涙や汗と一緒に
またある部分は時の大風が吹き飛ばした
大事な物を落としてしまった

毎日が僕の心を洗っていく
心の穴を繰り返しえぐりつつ
絡みつく過去の記憶を洗いながして
どんどん表皮を剥いていく

僕は変わらないことを手にとって何度も眺めてる
なぜか愛がケチケチされる
それは落ち込んでいるくせにグルメを気取っているからだ
まずは心を大切に磨こう
自分だけのことと人の大事なことを理解するために
失われていく心に大事なケアを欠かさないようにしよう
傷が痛むのならそれは弱っている部分のサインだ

プラットフォームの線路から
熱い陽炎が立ち上る
空と地と
太陽の照らすもの

寒々しい夜空に負けてしまわないよう
刺々しい言葉を発しないで
女々しい自分は太らせて

春の暖かさが僕をほどいていく
くもったエメラルドはいつか輝きを取り戻し昔のように人を惹きつけるはず
心がけしたいで傷は癒えるし、温泉に浸かったりしてゆったりと時を歩みたい


自由詩 心の落し物 Copyright 杉原詠二(黒髪) 2013-04-14 20:37:41
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