朝ぼらけ
佐東


しののめ
泣きやんだ雨と別れて
焦げ目のついたトーストの耳を
甘噛みする
(余韻だけの部屋)

逆さまに沈む 朝の底辺に
ひっそり と
しがみついている
(ちいさく おどる ひかりの子)

やがて
視力を取り戻した鳥たちが
木蓮の散る音に
驚いて しんでしまう





途切れ とぎれの
朝を
つなぎあわせる

水面のように ゆらぐ
まばゆい


目を閉じて眠ることを
思いだせないでいるきみの
四方をゆわえつけた
一房の髪で





葉脈の中で
ふるえる 水の
影を踏む

屹立する
朽ちた給水塔を貫く
光の向こう側
春のたましい は
ていねいに横たわる
(きみには みえるのでしょうか)





自由詩 朝ぼらけ Copyright 佐東 2013-04-10 08:35:02
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