イリュージョン
ソリッド町子

紙切れが橋の上から舞う映像が見える
何の苦労もしない、それはただの紙切れだ
白黒のフィルムの中だ
それを空に撒いた浮浪者の男はズタボロの新聞紙を引き摺って
彼は何の苦労もしない、ただ紙切れを撒きたいがために人殺しまでしたのに
あの黒いのは血でしょうか?
白黒のフィルムの中だ
「種を蒔きましょうよ
君はそれを倉に納めない生活、素晴らしいじゃないか」
紙切れの何百万の眸が彼をまなざしている、
汝はどんな偶像も崇拝してはならない。
私は地に満ちても決して殖えない種、
現実の悲しみは、迷路、睫毛、平穏と幻想。
白黒のフィルムの中だ


自由詩 イリュージョン Copyright ソリッド町子 2013-04-09 00:32:18
notebook Home 戻る  過去 未来