達磨診療所 
服部 剛

――再び発つ、と書いて「再発」という―― 

    * 

「人間はふたたび起きあがるようにできているのさ」 
いつも眼帯をしてる達磨だるま診療所のヤブ医者は 
片っぽうの目でこちらにぎろり、と呟いた。 

手渡された聴診器をこの胸にあて 
自らの鼓動をまじまじと聴いてみた 
(何処かの電信柱でカラスがあぁと一声、鳴いた) 
あの日の午後に 

    * 

僕は時折、思い出す。 
あの診療所の染みた白衣を身に纏う、達磨親父のひと言を。 
「お前さん、ほんとうの鼓動を聴いたことがあるかね?」 








自由詩 達磨診療所  Copyright 服部 剛 2013-04-04 21:54:17
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