異次元マイルーム
瑠依
朝、目が覚めると昼だった。
おかしい。
目の前にアナログな小さな目覚まし時計。
それは短い針が1と2の間くらいを指している。
おかしい。
時計が、ずれている。
電池、変えなきゃいけないなぁ。
わたしの身体の中にあるであろう、
きっと最新コンピュータ並に正確無比なデジタル電波時計。
まだまだ午前中を示している。
きっとそうだ。
だから朝なのだ。
反論は認めない。
テレビをつけたら、
いつもならお昼ごはんを食べてごろ寝している時間帯の番組。
もしかして。
「時差だ」
わたしの部屋には、世間様との時差があるらしい。
世間様と流れる時間に差があるとは、大発見だ。
なんだか不思議だ。
ここは一体どこだ。
日本か。
日本だ。
でも異次元だ。
なんだか楽しくなってきた。
時間がずれている。
良い子のみんながお家に帰るチャイムが鳴っても、まだおやつには早い。
晩御飯は、夜のドラマがBGM。
まだまだ寝るには早すぎる。
異次元マイルーム、邪魔するものは誰もいない。
狂った時間を楽しんで。
明日から世間の時間に戻らなきゃ。
リセットボタンは何処だ。
取扱説明書に載っていないトラブルシューティング。
カスタマーセンターはフリーダイヤル?
世間の時間に合わせて学校へ行く。
頭が重い。
眠い。
しんどい。
もしかして。
どうしたの、しんどそうだねって聞かれる。
「時差ボケなんだ」
答えると、
不思議そうに、きみが笑った。
欠伸がひとつ、ふたつとついて出た。