終電 第二便
……とある蛙

最終下り電車
残業帰りの疲れ
飲食店従業員という化粧
旅行帰りの子供連れの疲れ
デート帰りのいちゃついた欲望
窓を見つめる独り言
酔っ払いの不明な歓喜
忌避すべき酔っ払いの不潔な嘔吐
それらが折り重なって
同じ方向へ移動する。

混沌とした重量を
運ぶ深夜の下り電車
焦点の定まらない多くの視線
絡み合うことはなく
宙を舞う
黙想している律義
吐かないよう
ショートしないよう
外は
街の明りが後方へ飛ぶ
次第に消えて行く地上の光り
電車だけが光を放ちながら
暗闇を突っ走る

停車場の周りの光のオアシス
重荷は次第に軽くなり
お荷物はねぐらへ
ふらふらと吸い込まれる
帰る先に不確かな安寧
また、何の解決も無く
朝がやってくる。

その繰り返し


自由詩 終電 第二便 Copyright ……とある蛙 2013-03-27 10:20:57
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