キャッスルオブシューズボックス
未満ちゃん

(わたしがえびドリアを注文しないことで、
 知りもしないどこかの美人さんがしあわせになれる可能性について
 わたしはわらえずにいた

(あのひとはフライドポテトを掘るのにむちゅうで、
 そんな話をけっきょくただの一度も、否定しなかった

(わたしはふくれて。なにが不満だったのかひとことも口にせず
 お手洗いに行くって、30分以上はもどらなかった

(あのひとは長いことわすられた調味料のビンみたいにはりついて
 あたまやからだのほこりをなんども、気にしてた

(蒸発してく感覚をマステでなんども確認することがいそがしくて
 あのひとが棚から消えたその日、きっとただ裏側に落ちたんだと、
 そう、決め付けることにわたしは成功した

(並べられたおみやげのハイチュウの賞味期限を確認したこと自体、
 もう何年前のことだろうね

(その隣にはとっくに履かなくなって捨てた靴の箱だけが積まれてて
 わたしはいつかそれがわたしのお城になるんだと頭をかかえてた

(ある日わたしはしずかなかおをしながら、
 足場のゆがみをしんぱいしてた

(ねえ、今からあなたに、そのはなしを聞かせてあげるかわりに、
 新しい靴を買ってもらおうとおもうんだけど


自由詩 キャッスルオブシューズボックス Copyright 未満ちゃん 2013-03-24 15:02:44
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